WSハイブリッド工法の研究開発(第1報)
−新耐震工法WS造接合部の設計− |
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○高月博,奥田勇((有)ゆう建築設計事務所),湯前浩二(日向建設(株))
籠本真成武((有)ケイツー建築設計所),濱田義之((有)エス・ディ・ルーム)
坂田和則(徳島県立農林水産総合技術支援センター)
三井篤(三井プロジェクト総合研究所) |
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1. はじめに |
時代が創生する都市環境の変化と共に、都市狭小地での建築構法も新しい時代を迎えており、未来へ向かって進化していく新しい視点(1〜3)からの構法研究が期待される。
本研究は、都市環境の変化に順応し、未来へ向かって進化していくWSハイブリッド工法(3〜4)の実施設計を企画、新耐震工法WS造接合部の構造設計を確認申請し、大阪府摂津市に着工。
設計した新接合システムの工事状況を分析研究したものである。 |
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2.新耐震工法WS造接合部の設計 |
2.1 WS造の定義 |
本研究で開発しているWSハイブリッド工法の学術定義を幅広く設定する。
飯村(5)が研究している大断面製材の柱に鉄骨の梁構造、(村本6)の木材と鉄骨の組み合わせ梁、本研究におけるWSハイブリッド工法、そして将来、多くの研究者、建築設計事務所、住宅メーカが提案してくる木材と鉄骨の複合構造のすべてをWS造(木造一部鉄骨造)と広義に定義し、WS造を新しい建築構造として、一般的認識に努め、全国の工務店、住宅メーカへの普及を促進する。 |
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図1 新耐震工法WS造接合部 |
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2.2 MKシステムの開発 |
新耐震工法WS造接合部(図1)は、モーメント抵抗型ラーメン構法として構造設計できる。
接合部に、ラグスクリューボルト(3〜4)を活用し、新耐震工法を考慮して金属プレートを併用、新接合システムを開発(3〜4)した。
本研究では、MK(メタルと木)システム(図2)と命名、設計法を研究、開発。 |
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2.3 HCT デザイン構成柱の開発 |
H 型鋼とCT 型鋼の合成柱(3〜4)を本研究では、HCT デザイン構成柱(図3)と命名、研究、開発。 |
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図2 WSハイブリッド工法MKシステム |
図3 WSハイブリッド工法HCTデザイン構成柱 |
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3.新耐震工法WS 造接合部の工事状況 |
3.1 HCT デザイン構成柱の工事状況 |
HCT デザイン構成柱の工事状況を図3(T 型デザイン)、図4(L 型デザイン)に示す。
HCT デザイン構成柱は、ビジュアル構造(1〜2)としても優位。 |
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図4 HCT デザイン構成柱の工事状況 |
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3.2 MK システムの工事状況 |
MK システムの工事状況を図2(T 型デザイン)、図5(L 型デザイン)に示す。工事に携わった人は、架工工事中の揺れが、MK システム工事後はなくなって、安心して作業ができると評価が高い。 |
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図5 MK システムの工事状況 |
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4.むすび |
本研究の新耐震工法WS造接合部の設計は、FEMによる設計手法を研究し、MKシステムの変形挙動を数値化できれば、未来へ向かって進化していく画期的な工法となる。
HCTデザイン構成柱もビジュアル構造として優位で、WSハイブリッド工法の多様な研究開発が期待される。 |
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参考文献等
1) 窪田由秀、濱田義之、籠本真成武、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その1ビジュアル構造による木造3階建て空間構法―商店建築の設計施工― 日本建築学会大会学術講演梗概集、2009年8月 E−1 建築計画T
2) 濱田義之、籠本真成武、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その2ビジュアル構造による鉄骨造3階建て空間構法―京都景観保護地域の設計施工―日本建築学会大会学術講演梗概集、2009 年8月 E−1 建築計画T
3) 奥田勇、籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その3 ハイブリッド構造による都市型3階建てWS造の開発−ラグスクリューボルトによる新接合システム−日本建築学会大会学術講演梗概集、2009 年8月 E−1建築計画T
4) 籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その4ラグスクリューボルトによるハイブリッドWS 造の耐力−新接合システムの限界状態−日本建築学会大会学術講演梗概集、2009 年8月 E−1 建築計画T
5) 飯村豊:大断面製材と鉄骨のハイブリッド構造 日本建築学会大会学術講演梗概集、2008 年9月 E−1 建築計画T
6) 村本真:立体梁-柱有限要素法による鋼・木質ハイブリット構造梁の解析 日本建築学会四国支部大会学術講演梗概集、2009 年5月 構造 |