未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その3 ハイブリッド構造による都市型3階建てWS 造の開発 −ラグスクリューボルトによる新接合システム− |
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正会員 ○奥田 勇*
同 籠本真成武**
同 濱田 義之***
同 窪田 由秀****
同 三井 篤***** |
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1.はじめに |
都市部の狭小地におけるデザイン建築は、時代が創生する都市環境の変化と共にデザインや建築構法の変遷を余儀なくされている。
その変遷を「未来へ向かっての進化」と見ると、新しい視点からの都市型デザイン建築構法の芽生え(参考文献1〜2)が姿を現してくる。
本研究は、都市の変化に順応していく、都市型住宅のモデルプラン(図1)を建設するために、ハイブリッド構造による3 階建てWS 造の開発(図2)を検討した。 |
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2.ハイブリッド構造による3階建てWS造の開発 |
2.1 開発コンセプト |
都市の住宅市場に、有効に働く開発コンセプトは、平面的に狭小な空間を、立体的に有効利用することが唯一の方法であるが、法規的な規制が存在する限り、必然的に建物の高さや階数の限界も存在する。
そのため、スキップフロアー型の住居形態(図1)を設計し、床下や天井裏の空間を最大限に利用して、内部空間の有効範囲を拡げる「ハイブリッド構造によるWS造」を開発した。 |
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2.2 ハイブリッド構造による3階建てWS造 |
ハイブリッド構造によるWS造は、柱をH型鋼とCT型鋼の合成、梁が集成材で構成されていて、構造的に自由な空間プラン(図1、図3)が可能となる。
無駄な空間がなく、インナーガレージや玄関アプローチに余裕(図2)ができる。 |
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図1 都市型3階建てモデルプラン |
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鉄骨造より軽量であるために、地盤面にかかる荷重も少なく、地盤補強が不要、あるいは、軽微な補強で設計できる。
鉄骨造に見られる柱(角鋼)の出っ張りがなく、開放感があり、使いやすく、デザイン性も高まる。
[木造の3階建ての場合]耐力壁(図2)により玄関間口が狭くなり、インナーガレージを設けるとアプローチに余裕がなくなる。
[鉄骨造の3階建ての場合] 柱(角鋼)の出っ張り(図2)により、無駄な空間ができる。
柱や梁の重量もかかり、地震時に、より負担がかかる。 |
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図2 ハイブリッド構造によるWS造の開発メリット |
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図3 都市型3 階建てモデルプランの平面図 |
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3.ラグスクリューボルトによる新接合システム |
ハイブリッド構造によるWS 造は、モーメント抵抗型ラーメン構法である。
H型鋼とCT 型鋼の合成柱と集成材の梁との接合に、ラグスクリューボルト(参考文献3〜4)を活用し、施工性と信頼性を考慮して金属プレートを併用、接合部の性能を高める新接合システム(図4)を開発した。 |
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図4 ラグスクリューボルトによる新接合システム
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4.まとめ |
長期優良住宅の普及の促進に関する法律が平成20年12月に公布され、平成21 年6 月4 日 に施行される。
本研究のハイブリッド構造によるWS造は、長期優良都市型住宅としての施工マニュアルを作成し、全国普及を計画している。
そのためには、型式認定に必要な実験的検討が必要である。 |
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参考文献等
1) 窪田由秀、濱田義之、籠本真成武、三井篤:地域林業への夢を育む木のデザイン建築構法の研究・その1 日本建築学会大会学術講演梗概集、2008 年9月 E−1 建築計画T
2) 濱田義之、籠本真成武、窪田由秀、三井篤:地域林業への夢を育む木のデザイン建築構法の研究・その2 日本建築学会大会学術講演梗概集、2008 年9月 E−1 建築計画T
3) 中谷誠, 小松幸平:ラグスクリューボルトの引抜き性能発現機構 (第1 報)−先孔直径, 埋込み深さ, 埋込み方向, 縁距離が引抜き性能に与える影響−、木材学会誌、Vol. 51, No. 2p.125-130、2005 年
4) 中谷誠, 小松幸平:ラグスクリューボルトの引抜き性能発現機構 (第2 報)−繊維平行方向引抜き理論の構築−、木材学会誌、Vol. 51, No. 5 p.311-317、2005 年 |
* (有)ゆう建築設計事務所
** (有)ケイツー建築設計所
*** (有)エス・ディ・ルーム
****(有)コンティス
*****三井プロジェクト総合研究所 農学博士 |
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