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WS ハイブリッド工法による都市型建築構法の研究・その1 MK システムの設計施工
 
正会員 ○奥田 勇*,高月 博*
同 濱田 義之**
同 籠本真成武***
同 湯前 浩二****
同 三井 篤*****
 
1.はじめに
都市狭小地での住宅建築において、3階建て建築構法が時代のニーズとなってきている。
耐震性に優れ、かつ空間設計のデザイン性が高い視点(参考文献1〜3)からの建築構法研究が期待され、未来へ向かって新しい建築時代を迎えようとしている。
本研究は、都市狭小地での3階建て建築構法として開発したWSハイブリッド工法(参考文献3〜4)のモデル建築として2階建て住宅建築(参考文献5〜6)の建設を企画した。
新耐震工法WS造としての構造設計を確認申請し、大阪府摂津市に着工(2009年9月)し、開発したMKシステムの設計施工を分析研究したものである。
 
2.WSハイブリッド工法の設計
2.1 WS造の定義
本研究で開発しているWS造の学術定義を幅広く設定したいと考えている。
飯村7)が研究している大断面製材の柱に鉄骨の梁構造、村本(参考文献8)の木材と鉄骨の組み合わせ梁、本研究におけるWSハイブリッド工法(参考文献3〜6)、そして将来、多くの研究者、建築設計事務所、住宅メーカが提案してくる木材と鉄骨の複合構造のすべてをWS造(木造一部鉄骨造)と広義に定義し、WS造を新しい建築構造として、一般的認識に努め、全国の工務店、住宅関連メーカへの普及を促進する。
 
2.2 MKシステムの設計
WS ハイブリッド工法(図1)は、モーメント抵抗型ラーメン構法として構造設計できる。
接合部に、ラグスクリューボルト(参考文献3〜4)を活用し、新耐震工法を考慮して金属プレートを併用、新接合システムを開発(参考文献3〜4)し、MK(メタルと木)システムと命名(参考文献5)した。
本研究では、設計法を研究、開発(図2)を進めていく。
 
2.3 HCTデザイン構成柱の設計
H 型鋼とCT 型鋼の合成柱(参考文献3〜4)を本研究では、HCT デザイン構成柱と命名(参考文献5)した。
本研究では、3方向ラーメン構造としてのT 型デザイン(図3)、2方向ラーメン構造としてのL 型デザイン(図4)など設計法を研究し、開発を進めていく。
図1 WS ハイブリッド工法
図1 WS ハイブリッド工法
図2 WSハイブリッド工法MKシステム
図2 WSハイブリッド工法MKシステム
図3 HCTデザイン構成柱(T型デザイン)
図3 HCTデザイン構成柱(T型デザイン)
 
3.WSハイブリッド工法の施工
3.1 HCTデザイン構成柱の施工状況
HCTデザイン構成柱の施工状況を図3(T型デザイン)、図4(L型デザイン)に示す。
HCTデザイン構成柱は、ビジュアル構造(参考文献1〜2)としても優位な設計と考えられる。
図4 HCTデザイン構成柱(L型デザイン)
図4 HCTデザイン構成柱(L型デザイン)
 
3.2 MKシステムの施工状況
MKシステムの施工状況を図3(T型デザイン)、図4(L型デザイン)に示す。
工事に携わった人は、架工工事中の揺れが、MKシステム施工後はなくなって、安心して施工作業(図5)ができると評価が高い。
図5 MKシステムの施工状況
図5 MKシステムの施工状況
 
4.むすび
本研究におけるWS ハイブリッド工法の構造設計は、FEM による設計手法を研究し、MK システムの復元力特性を数値化できれば、未来へ向かって進化していく画期的な工法となる。
昨年、長期優良仕様の木造3階建て倒壊実験が話題になっていたが、WSハイブリッド工法の多様な研究開発が期待される。
 
謝辞
本研究に使用したラグスクリューボルトと集成材は、京都大学生存圏研究所小松幸平教授LSB研究会メンバー銘建工業(株)にご協力いただき、設計は、(株)イデア・ファイブにご協力をいただいた。
ここに、関係各位の暖かいご支援に対して、深く謝意を申し述べます。
参考文献等
1) 窪田由秀、濱田義之、籠本真成武、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その1 ビジュアル構造による木造3階建て空間構法―商店建築の設計施工― 日本建築学会大会学術講演梗概集、2009年8月 E−1建築計画T
2) 濱田義之、籠本真成武、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その2 ビジュアル構造による鉄骨造3階建て空間構法―京都景観保護地域の設計施工―日本建築学会大会学術講演梗概集、2009年8月E−1 建築計画T
3) 奥田勇、籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その3ハイブリッド構造による都市型3階建てWS造の開発−ラグスクリューボルトによる新接合システム−日本建築学会大会学術講演梗概集、2009年8月 E−1 建築計画T
4) 籠本真成武、濱田義之、窪田由秀、三井篤:未来へ向かって進化する都市型デザイン建築構法の研究・その4 ラグスクリューボルトによるハイブリッドWS造の耐力−新接合システムの限界状態−日本建築学会大会学術講演梗概集、2009年8月 E−1 建築計画T
5) 高月博、奥田勇、湯前浩二、籠本真成武、濱田義之、坂田和則、三井篤:WSハイブリッド工法の研究開発(第1報)−新耐震工法WS造接合部の設計−木質構造研究会技術報告集、2009年12月
6) 濱田義之、籠本真成武、湯前浩二、奥田勇、高月博、坂田和則、三井篤:WSハイブリッド工法の研究開発(第2報)−新耐震工法WS造接合部の変形挙動−木質構造研究会技術報告集、2009年12月
7) 飯村豊:大断面製材と鉄骨のハイブリッド構造 日本建築学会大会学術講演梗概集、2008年9月 E−1 建築計画T8) 村本真:立体梁-柱有限要素法による鋼・木質ハイブリット構造梁の解析 日本建築学会四国支部大会学術講演梗概集、2009年5月 構造
*(有)ゆう建築設計事務所
**(有)エス・ディ・ルーム
***(有)ケイツー建築設計所
**** 日向建設(株)
***** 三井プロジェクト総合研究所 農学博士
 
 
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